社長の悩みQ&A(残業)

社長の悩み(残業)

残業はできることならさせたくないのが本音です。しかし繁忙期などは残業しないと仕事が滞ってしまうこともあるでしょう。そこで、正しい残業の指示を行い、従業員も納得して働き、定められた割増賃金を支払うのが正しい残業のあり方です。ところが、近年問題になっているのがサービス残業です。残業をやっても申告せずまたは申告しても受理してもらえず、ただ働きをすることをサービス残業と呼んでいます。この状態が異常だということを使用者は認識しているでしょうか?こんな立場にある労働者がどんどん訴訟を起こしてサービス残業していた時間に対する賃金を請求して、実際に勝訴しています。こうならないためにも残業に関してしっかり管理して低減していくように、仕事のやり方などを改善していくようにしましょう。

残業手当の計算方法

残業手当の計算方法を教えてください。基本給と諸手当というかたちで給料を支払っています。

労働基準法で言う賃金とは支払われる項目名に区別なく、労働の対価として支払われるすべてをいいますから、総支給額で計算することになります。
ただし、この割増賃金の計算に算入しない賃金があります。家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われるもの、1個月を超える期間ごとに支払われるものがそれにあたります。臨時に支払われるものとしては、結婚祝い金や死亡弔慰金などがありますが、就業規則などで、支給条件があらかじめ決められている場合は賃金とみなされます。

では、実際に計算をしてみましょう。次の手順で行います。

  1. 年間労働日数(例:365日−年間休日数116日=249日)を算出
  2. 年間総労働時間(例:年間労働日数249日×8時間=1,992時間)を算出
  3. 1ヶ月平均労働時間(例:年間総動労時間1,992時間÷12ヶ月=166時間)を算出
  4. 残業単価(例:固定給249,000円÷166時間×1.25=1,500円)この例の1.25は割増賃金率で8時間を超える午後10時までの率です。

詳しくは姉妹サイト変形労働時間制導入で残業代?割カットをご覧ください。

残業低減方法の例

社員のほとんどが毎月残業をしているので、少しでも残業代を抑えたいのですが。

法制度内での工夫を2例紹介します。

【解決法その1】

残業単価の計算式は、残業単価=固定給÷(年間労働日数×所定労働時間÷12)×1.25でした。
この式から、年間労働日数を増やすと残業単価を下げることになります。しかし、いきなりいままでの休日を減らすことはできませんから、有給休暇を増やすことを考えます。
そこで、休業日を有給休暇の一斉取得日とすれば、その日は労働日に当たり出社扱いになります。
有給休暇は、5日を超える部分は労使協定により、与える時季を定めることができます。ただし、一旦決めると労使ともに変更はできませんから、注意してください。

【解決法その2】

残業が月の前半または後半に偏っていませんか?あるいは1年の一定期間に集中していませんか?もしそうであれば、変形労働時間制をお勧めします。
変形労働時間制には、1週間単位、1個月単位、1年単位、フレックス制があります。それぞれ適用条件等異なりますので、実情にあった制度をご検討ください。

詳しくは姉妹サイト変形労働時間制導入で残業代?割カットをご覧ください。